【読書】速さは全てを解決する ─『ゼロ秒思考』の仕事術─(赤羽雄二)

本当の「働き方改革」を目指そう

スピードアップの鍵は、「仕事のスピードは無限に早くなる」「思考のスピードは無限に早くなる」という信念のもと、あらゆる創意工夫をし続けることだと考えている。

 

どんな名門企業にも、仕事の非効率は山ほど存在します。

私がこの本を読んで欲しいと考えるのは、たとえば次のような悩みを抱える方です。

 

  • 大量の仕事に忙殺される。忙しすぎて昼食をとる事さえままならない。
  • なのに働き方改革の影響で、上司からは「早く帰りなさい」と言われるので、絶対に時間内に仕事が終わらない。勤務データをごまかす事もある。
  • 本当は「この仕事って本当に必要ですか?」と聞きたいのに、そうできる雰囲気ではない。仕方がないのでそのまま仕事を続ける。
  • どうすれば効率よく仕事ができるのか、上司や先輩に相談しても、根性論のような要領を得ない答えしか返ってこない。

 

仕事で大切なのは、まずは正確さとスピードです。

しかし私が新入社員だった時に、その具体的なノウハウを教えてくれる人は身の回りにいませんでした。参考になりそうな人さえ、見当たらなかった。そのおかげで、随分と辛い思いをしました。

そんな時は読書です。読書を通してノウハウを積み重ね、生産性を高めるのです。そして仕事術の本なら、多読よりも、一冊を徹底的に反復演習するのが良いでしょう。この本の内容を真に実践できれば、他の時短術の本は読む必要はありません。

働き方改革は、上から与えられるものではなく、私たち一人一人が自主的に実践するべきものです。この本を読んで、ぜひ職場で生産性向上のリーダーシップを発揮してもらえればと思います。

 

速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術

速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術

 

 

 

なぜ仕事が遅いのか考えてみよう

「早く帰れ!」

上司からそう言われる人も多いと思います。働き方改革です。

 

最近ではどの企業でも生産性を向上させようと頑張っており、企業ごとに競い合うこともあると言います。

一方で、「業務量を減らさずに時短だけするのは不可能だ」という声も多く聞きます。最近では「時短ハラスメント」という言葉さえ出てきてしまう始末。これではせっかくの働き方改革も、「仏像彫って魂入れず」と言われても仕方ありません。

この混乱は過渡期的な現象でしかないのでしょうか? そうではなく、もっと構造的な問題を抱えており、この混乱はしばらく続くというのが、私の考えです。

 

まず、仕事が遅い理由を考えてみましょう。

本書で赤羽さんが示している例に、皆さんも心当たりがあるはずです。

すぐ始めることができない

目先の仕事にかまけて遅れる、何だかんだ理由をつけて始めようとしない、ということはないだろうか。(略)一度後回しにし始めると、「遅れたからちゃんとやらなくちゃ」と思い、さらに遅れるようになる。遅れた分、挽回し、よりよい結果を出そうとする。こう思ったらほぼアウトで、遅れている段階で質を上げて挽回することは大変難しい。

段取りが悪く、後手後手になる

仕事を比較的すぐ始め、集中できたとしても、段取りが悪いと稚拙な仕事のやり方になってしまう。(略)この原因はおそらく想像力や先読み力の欠如だ。 

書類・資料作成が遅い

書類・資料をつくり始めるまであれこれ悩む。上司の顔がちらつく。調べ尽くさないと不安で書類をうまくつくれない。(略)だいたい、上司も何を求めているのかはっきり言ってくれない。いつもそうだが、おそらく上司もどういう書類がほしいのか、肝心のところはよくわかっていないのだ。自分の要望を的確に、曖昧さなしに伝えられる上司などほとんど見たことがない。

会議が多い、時間が長い

会議の目的、期待成果が明確ならともかく、それが曖昧で招集だけされるというのもよく経験することだ。「出ておかないとまずいから出る」という感じで、出て何か貢献できるわけでもない。そもそもの発言の機会さえ与えられない会議もよくある。 

差し戻し、やり直しが多い

部下に曖昧な指示しかしていないのに、自分の意に沿うものが自然にできあがることを期待している上司がどれほど多いことか。(略)部下のほうはもちろん困って、何とか上司の考えを探ろうとするが、上司のほうはそもそも自分が何をほしいのかきちんと考えていないし、それは自分の仕事ではないと思っていることも多いので、指示内容を確認する質問すらあまり喜ばない。自分の指示が曖昧なことを棚に上げ、「そんなこと自分で考えろ。給料をもらっているんだろ? 給料!」などと、平気で言ってしまう。

一部だけを紹介しましたが、心当たりはなかったでしょうか。そして最後3つはほとんど上司への悪口ですね(笑)。

 

ここで注意するべきなのは、「その上司もかつて部下だった時代がある」ということ。そして皆さんと同じような気持ちを持っていたはずなのです。 

けれども実際に上司になると変わってしまう。ということは、意識して仕事をしなければ、皆さんも数年後に、その上司のようになってしまう可能性が高いという事なのです。

これはとても怖い事です。ここから先、少し赤羽さんの本から離れて、私の考えを書かせてもらえればと思います。

 

上司から学ぶな、本から学べ

残念な事実を書きます。

皆さんが仕事の生産性を高めようと思った時に、「上司の背中を見て学べ」という考えは、おそらく通用しません。 

皆さんの上司に私は会ったことはないですが、この事は信じてもらえたら嬉しいです。

 

そもそも私たちは、「上司・先輩の背中を見て学べ」という考えを、どこで身につけたのでしょうか。

家庭の躾もあるかもしれませんが、一番はやはり、学校です。私の場合は、中学・高校の部活動でした。

音楽系の部活動でしたが、上下関係が厳しかった。先輩やコーチから「こうやって演奏するんだよ」とノウハウを教わり、練習を積み重ねていきます。そして私自身も、先輩になった時は後輩に同じような指導をしていきます。ノウハウのバトンを、上から下へと繋いでいくのです。運動部も、基本的な流れは同じだと思います。

まさにそれと同じような仕組みが、会社の中にも存在しています。会社の中には、それまでの歴史の中で培ったノウハウがたくさん蓄積されています。無力な新人も、それを諸先輩方から学ぶことで、時間をかけて一人前のビジネスパーソンへと育っていく。だから最初は辛くても、「三年は辞めるな!」となるわけです。

 

けれども、その考えを捨て去りましょう。野球であれば正しい素振りのフォーム、音楽であれば美しい音を出すメソッドは、そう簡単に変わるものではありません。ある種の普遍性を持っている。しかしビジネスの世界においては、外部環境が変化することによって、「かつての正解」が「未来の不正解」へと早変わりしてしまうことが、起こり得るのです。いとも簡単に。

 

2000年代初頭に携帯電話を買おうとすれば、「ガラケー」しか選択肢がありませんでした。懐かしいですね。しかしスマホの登場によって巨大市場は一気に消滅し、それに伴ってガラケーにまつわる知識やスキルの価値もあっという間に陳腐化してしまった。「かつての正解」が「未来の不正解」になった瞬間です。

それと同じことが、個人のスキルについても言えるのです。あなたの上司が持っているスキルは、もしかすると「ガラケー時代のスキル」かもしれない。

 

日本の会社の「早く帰れ」運動は、「帰れ」と口にするものの、しかし具体的な方法論まで教えてくれるわけではありません。

そもそも働き方改革という言葉が登場したのも2010年代も後半に入ってからで、そのほんのちょっと前までは「上司より先に帰るなんてありえない」なんて言っていた人たちばかり。上司たちも、試行錯誤している最中なのです。トップダウンで目標設定したは良いものの、あるべき姿に現実が追いついていない。そしてあなたの部署の周囲を見渡して、正解が見つかる確率は、現実的に高くない。

 

だからこそ、働き方のセカンドオピニオンを手に入れましょう。その時に役立つのが読書です。一流のビジネスパーソンが培ったスキルを、読書を通して自分の中にインストールするのです。

ある人の考えが書籍になるというのは、その人の考えが広く通用する優れたものである事の証明です。私自身、新入社員の時は読書を通して多くのことを学びました。読書は「自分の常識の外側」を見せてくれます。そしてそれがセカンドオピニオンとして役に立ちます。

 

そして読書で学んだことと、上司が教えてくれたことが異なっていたとしたら?

そこから先は、「自分の頭で考える」という新たなステップに入っていきます。判断するのは、あなたです。 

 

仕事が速くなれば、こんな未来が待っている

赤羽さんは初学者に適した入門書を何冊も書いています。

東京大学を卒業してコマツに入社し、その後マッキンゼーというトップ集団で活躍しながらも、悪い意味でのエリート意識が希薄です。常に向上心ある入門者に寄り添うような本を書いている。

速さが上がれば、頭がよりよく動く

まず、何をどうすべきか早く思い付くようになる。このモードになると、新企画案なども一気にできる。何かのヒントに対して閃きが走る。

次に、言葉がどんどん出てくるようになるので、資料・書類作成が加速度的に速くなる。後輩にびっくりされるほど速く作成できるようになる。

速さが上がれば、PDCAを何度も回すことができる

そうすると時間的にも精神的にも余裕が出てくるので、二回目はゆったりした気持ちで、ただしかなり速くPDCAを回す。ポイントがわかっているので、本当に大事なところだけ確認し、改善しながら加速して回すことができるようになる。

速さが上がれば、やる気が出てくる。

どうにもやる気が出ない。集中できない。そういうなかでやる気を維持しようとする努力は、つらくストレスになる。そういうときは、精度を少し犠牲にしてもいいので、仕事のスピードを大幅に上げてみる。先手を打ち、段取りを前倒しして、ざっとでいいので結果を出してみる。そしてPDCAを回してみる。そういった細かな努力の積み重ねをしているうちに、気分はそこまで高揚していなくても結果だけは出るようになる。少なくとも仕事が速くなると周囲の見る目も変わってくる。自然に楽しくなる。そうすれば、いつの間にかやる気が出てくるはずだ。

速さが上がれば、実力を出せる

仕事が速くなれば、やる気が出て結果も出てくる。そうすると、心も体も伸び伸びとして、自分の持っている本来の力を出せるようになる。

赤羽さんの本の良いところは、読み終わった後に、「よし、自分もやってみよう!」となるようなポジティブな言葉に溢れていることです。

どんなアドバイスも、行動につながらなければ意味がありません。それだから、「なぜ速さが大事なのか?」「それはどのように身につけるのか?」という根本の部分を、懇切丁寧に解説してくれているのです。

 

根本的な心構えとテクニック論、どちらも大切

仕事に役に立つ情報が、本書の中にはたくさん詰まっています。

まず、仕事を効率よく進める上での心構えを、赤羽さんは8つに整理しています。もし皆さんの仕事が行き詰まっているとしたら、この8つのどれかに原因があると考えて良いでしょう。

まず全体像を描く

全体像が見えれば、どの部分が大事で、どの部分はそれほどでもないかがわかる。どこが絶対に押さえるツボなのか、どこが危ない橋なのかが見えて来る。そうすれば、必要以上に丁寧な仕事をして、本当はそこまで大事ではないところに延々と時間をかけたり、あとでやるべきなのに最初に時間をかけすぎるなどがなくなる。リスクを測りつつ、思い切ってスピードを上げていくこともできる。上司も安心するし、経験の少ないチームメンバーも全体像を理解したうえで個々のタスクに取り組んでくれる。

二度手間を全力で避ける

初めての仕事の場合は、周囲の経験者何人かによく話を聞いて、仕事の全体像を理解し、どこに落とし穴があるかを確認しておく。仕事のほとんどは誰かが経験し、うまくいったり失敗したりしている(略)

また、最初が肝心なので、自信がそれほど持てない状況では、上司・先輩に頻繁に確認することも大切だ。仕事を成功させるまでのイメージを持ち、繰り返し考えることで、ぶれが生じたらすぐわかるようにしておく。

工夫のしかたを工夫する

また、たとえば、仕事を速くするために既存の資料から使える部分を探し出すことは誰でもやると思うが、社内の関連資料から再利用できそうな部分を事前に選び出し、ポストイットなどでインデックスをつけ、全体像を頭に入れたうえで次回以降の探すスピードを一気に短縮できるよう準備しておく人はあまりいないだろう。

さらに、メールや資料作成の入力を速くするために単語登録する人はいるが、徹底して速くするために数百以上の単語登録をしたり、メールアドレスやURLまで単語登録する人はあまりいないだろう。

仕事を速くするために何かと工夫する人はもちろん多いが、それを徹底するために、「仕事を速くするライフハックブログ」などを書き続けて他の人を刺激し、勉強会を開くことでさらにノウハウを得ようとまでする人はごくわずかだろう。

上記以外にも、工夫のしどころは無数にあり、常になんらかの特別な工夫をすることで、仕事はどんどん速くなる。しかも質も上がっていく。全体観も身についていく。少しずつの積み重ね、特別な努力の積み重ねで大きな差がつく。

 

こうした心構えだけでなく、日常の業務ですぐに試してすぐに効果があるテクニックについても、赤羽さんは本書の中で惜しげもなく披露しています。 

再利用可能なファイルは、専用フォルダに保存する

仕事では資料、メールを多数作成し、やり取りをすることが必須になる。その際、そういった資料、メールをそのたびにゼロから用意すると時間がいくらあっても足りない。私はデスクトップ上に「再利用フォルダ」を置いて、部分的にでも再利用する可能性のあるファイルやメールを全部保存している。

単語登録を200〜300個する

メールや書類作成のスピードを大幅にあげるには、単語登録が鍵になる。しかも10個、20個ではなく、200〜300個くらいすると入力が驚異的に速くなり、大変快適に仕事が進む。(略)

  • 例1:「あ」→赤羽雄二
  • 例2:「ぱ」→パワーポイント
  • 例3:「じ」→@gmail.com
  • 例4:「おは」→おはようございます。
  • 例5:「よろ」→よろしくお願いします。
  • 例6:「あけ」→明けましておめでとうございます。
  • 例7:「09」→自分の携帯電話番号
  • 例8:「じゅ」→会社のアクセスURL(住所の「じゅ」)

また、思考の体力を鍛える方法として、著者が独自に提唱する『ゼロ秒思考』というトレーニング方法にも加え、コンサルではおなじみの「仮説思考」「ゼロベース思考」「フレームワークの作り方」と言った概念についても分かりやすく解説してあります。本書を実際に読んで面白かったという方には、ぜひ『ゼロ秒思考』の本も併せて読んでみることをオススメしたいです。

 

この本の良いところは、仕事の基礎となる心構えからライフハック的なテクニックまで、内容に網羅性があり、かつ「すぐに始められる」という敷居の低さがあることです。本書を読めば、他の時短術の本は読む必要はありません。

 

 

周回遅れの仕事術を身につけるな

 正直、私は「マッキンゼー」という会社名を学生の時に聞いたことがありませんでした(皆さんはどうですか?)。

ですがマッキンゼーは、「仕事を速く終わらせる」という生産性の観点で見た時に世界一の会社だと考えてまず間違いありません(無条件に欧米企業を礼賛するべきではないですが、それでも学ぶべき事がたくさんあります)。

そのマッキンゼーにおいて、12年に及ぶ長期間に渡り採用業務を行ってきたのが、伊賀泰代さんです。伊賀さんは著書『採用基準』の中で、「保守的な大企業で劣化する人」と題したこんなコラムを書いています。長いですが、とても興味深い内容なのでその一部を引用します。

 

《保守的な大企業で劣化する人》

特に深刻な問題は、学生の頃には自由かつ大胆に思考できていた人が、保守的な大企業で最初の職業訓練を受け、仕事のスピードや成果へのこだわり、ヒエラルキーにとらわれずに自己主張をすることや、柔軟にゼロから思考する姿勢を失ってしまう場合があることです。

社会人としての最初の訓練を受ける場所の影響は絶大で、一定の行動様式を刷り込まれてしまうと、後から矯正することは容易ではありません。しかもひとつしか職場を知らない本人は、問題意識さえもっておらず、面接において自分が「立派な社会人」ではなく、「極めて保守的な組織の構成員」に見えていることにも気がつきません。(伊賀泰代『採用基準』より)

マッキンゼーの転職面接に臨むのは、名門大学を卒業して名門企業に新卒入社した綺羅星の経歴の持ち主ばかりです。しかし長年に渡りそうしたビジネスパーソンを採用し、その後の社内での活躍状況を見続けてきた伊賀さんは、大企業出身者へ冷たい言葉を言い渡します。

たとえば、日本の大企業で育った人は礼儀作法が行き届いています。冬には、受付が見える場所に来る前にコートを脱ぐし、面接では立ったまま、面接担当者が来るのを待っている候補者もいます。名刺交換の際、いくら気をつけていてもこちらの名刺より下から自分の名刺を滑り込ませてくる技には感心させられます。

しかしこういった「目上の人に対して、どう振る舞うべきか」をたたき込まれている人の中には、「上司の意見には反論せずに従うべき」とか、「立場を考えて発言すべき」などという(その企業の)常識も併せて身につけてしまっている人がおり、礼儀だけではなく議論にもヒエラルキーをもち込みがちです。

そうなると面接で議論をしていても、面接担当者の意見を否定することができなかったり、相手が望む答えを探ろうとするなど、ヒエラルキーを排してトコトン議論することが求められる仕事には、適性がなくなってしまいます。

また大企業では、黒字部門の利益で赤字部門を維持することができるため、社会人になってからずっと赤字部門で働いているという人もいます。そんな中で、「利益を出す=コスト削減をすること」などという斜陽産業における常識を身につけてしまうと、急成長する事業分野や新興国のビジネス展開を率いるリーダーになることは困難です。公務員組織に育てられた人の中にも、前例のないこと、法律で禁止されていることに関しては、完全に思考停止になってしまい、何ひとつ考えられなくなってしまう人もいます。(伊賀泰代『採用基準』より)

私がこの記事の冒頭で述べたガラケー時代のスキル」というのは、決して生産性に限った事ではないのかもしれませんね。伊賀さんの例を見ると、そのことが良く分かります。

 

思い切って、「ガラケー時代のスキル」の例を出してみましょう。三菱自動車です。

www.ikedahayato.com

 

「こんなの、この会社だけじゃないか」と思いますか?

いいえ、残念ながら他の会社も同じです。きっと皆さんの会社も同じです。違うのは、こういう部分を外部からうまく隠す知恵があるという事だけです。何もかも本音をオープンにしていたら、就活生も集まってくれませんから。

 

こういう人が「早く帰れ」と号令をかけているわけです。決して本心でも何でもなく、「経団連からしつこく言われたから仕方なく・・・」くらいの考えしかないこと、そして実際に生産性を高めるためのノウハウの持ち合わせもないことが、分かって頂けるはずです。

経営者から、現場の上司まで。「早く帰れ」運動の正体は、本心からの創意工夫ではなく、ただの日本人的な上意下達の精神の表れです。

 

だからこそ、私たち一人一人が、本当の意味での「働き方改革」を、自らの創意工夫で進める必要があります。その時に大切なのは、周回遅れの仕事術を身につけないということです。

生産性を高めるノウハウについて、2018年の現時点ではシニアもジュニアもスタート地点はほぼ変わりません。ということは、この競争はジュニアの方が有利と言えそうです。何故なら若ければ若いほど、新しいスキルへの吸収力・適応力があるからです。だとすれば、明日にも取り組み始めない理由はありません。今回ご紹介した赤羽さんのこの本が、皆さんの生産性向上のスタート台になればと思います。

(※なお、この本の考え方をさらに一歩深堀りしたい場合は、先ほども紹介した伊賀泰代さんの『生産性―マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』という本が良書です。興味のある方はぜひご一読ください)